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三佛忌(さんぶっき) |
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渭雲寺 副住職 天利 寛芳 |
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三佛忌とは『降誕会(ごうたんえ)』・『成道会(じょうどうえ)』・『涅槃会(ねはんえ)』のことを言います。まず『降誕会』とは、お釈迦様の生誕を祝う行事です。 |
『花まつり』ということもあります。今から二千五百年ほど前の四月八日、お釈迦様は『釈迦族』のゴータマ・シッダルタ王子として生まれました。お釈迦様は、色とりどりの花が咲きほこる「ルンビニーの園」で、生まれてすぐに七歩東へ歩まれると、右手を上に、左手を下に向けて「天上天下(てんげ)唯我独尊(ゆいがどくそん)」とおっしゃいました。この言葉は人間は生まれや育ちにかかわらず、みな平等に尊い存在だということを意味します。またお釈迦様が生まれた時、天からは甘露の雨が降りそそぎ、たくさんの花が咲きみだれたと伝えられています。この時の姿を形どった像の上から甘茶をそそぐのも、この行事が「花まつり」と呼ばれるようになったのも、そうした由来があるからです。 |
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次に『成道会』です。これはお釈迦様が悟りを開かれた日を祝う行事です。お釈迦様は出家してから過酷な苦行を続けましたが苦行だけでは悟りを開くことはできないと実感し、山を下り菩提樹の下で坐禅をしました。坐禅を続けて十二月八日の明けの明星が輝いたころ、ついにお釈迦様は悟りを開いたといわれています。
『涅槃会』は、二月十五日、お釈迦様の入滅の日に、お釈迦様の遺徳追慕と報恩のための法要です。涅槃とは、ニルバーナの訳語で、迷いのなくなった心の境地を指す言葉ですが、この場合には、釈迦が亡くなったという意味で用いられています。
この行事を総称して『三佛忌』といいます。お祝いの行事に忌と言うのは違和感を感じるかもしれませんが、お釈迦様を尊び偲ぶという心からこのように呼ばれています。皆様もこの心を忘れずに、日々お過ごしいただければと思います。 |